夕暮れのキャンバス

朝、家を出た
お弁当は持っていない
お腹は空かない気がしていた

知らない景色を見たかった
未だ、きっかけを掴めずにいる

僕の目の前に広がる初めての道は
知っている景色を所狭しと並べたようだ

細い路地に逃げ込んだこころが言う、
命は一種の鎖だ、
僕は枠の中にいる

群青色の空が
橙色に染まる
僕はどっちつかずのまま公園へ逃げ込む

橙色が映る噴水を眺めている、
隣に絵描きの老人がいる、
すばやく橙をキャンバスに走らせる、
その横顔を見る

風が強くなる、
描き続ける老人、
僕の心が呟く、
キャンバスに溶け込んだ絵の具のようだ

ふと指で四角を作り
僕は指カメラでこの老人へ向けて
シャッターを切った

僕自身が放たれる、
命は一種のキャンバスだ、
僕は表情を添える

空の橙が消えていく、
やはりお腹は空かない、
胸の中は今、無限なのだ


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