アプラクサス
高層ビルの屋上に あの子はいた。
優しさを象った横顔。
淋しげな瞳は潤み。
生命が透き通る程白く細い手を
水でもすくうかのように 宙に差し出した。
その手をゆっくりと広げる。
純白のスカートは風にはためき
空高く堕ち崩れてゆく白いからだは
夜のネオンに溶け込んだ。
まるで 元から存在しなかったような子なのに
大人になった今でも
私の脳裏で彼女は成長を続ける。
今年であの子は
私と同じ二十歳を迎えた。
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